フィスチュラとはなにか



アジスアベバ・フィスチュラホスピタルの庭で。患者たちは、「自分だけがこのような症状に悩まされるのか?」という孤独感から開放され、希望を得て、くつろぐ。





フィスチュラ(ろうこう)とは、体の器官に空いた、あな(=孔)のことをいう一般的な医学用語です。

たとえば、痔の一種、「痔ろう」というのを聞かれたことがある方なら多いかと思います。あの「痔ろう」の「ろう」は、「痔ろうこう」の「ろう」、フィスチュラの「ろうこう」と同じ意味です。「痔ろう」の場合は、直腸と肛門との間に、孔が空いてしまうことを意味します。痔の中でも、痔ろうは、通常、やはり治療に投薬ではなく、手術を要するとされています。

そこで、産科フィスチュラとは、お産にかかわって、フィスチュラが生じる場合です。具体的には、膣周辺の壁に穴が開いて、膀胱や直腸との間に、やはりあってはならない孔が開通してしまうわけです。

膀胱との間のみでしたら、尿漏れ、直腸へダメージがあると、糞漏れがコントロールできなくなります。また、関連して、感染症や、足の機能へのダメージといった合併症もよく見受けられます。

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赤ちゃんの頭が、骨盤に比べて大きすぎるとき、先進国では、病院のベッドで頭のサイズなどを測定して、会陰切開を施したり、鉗子分娩を促したり、最終的には帝王切開により、母子の安全を確保します。それが、出産のために医師や助産婦などに診療を依頼することができない、貧困過疎農村部を中心に、陣痛が長引いてしまう出産がフィスチュラの原因となるのです。

陣痛が3日、4日も続くようなことがあると、赤ちゃんは、その頃には産道で死んでしまいます。そうすると、赤ちゃんのサイズは縮小し、ようやく、出産(死亡した胎児の排出)に至れるのだといいます。

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赤ちゃんを失ったお母さんは、それだけではなく、産後、排泄コントロール機能喪失などの大変つらい現実に直面することになります。子供を持つことが、社会経済的に女性にとって重要な意味を持つ文化圏にあって、精神的に、投げやりになってしまったり、うつになってしまったり、はては、自殺を試みたり、実際に自殺に成功する女性たちも、、、

多くの女性は、夫(または子供の父親)に、放り出され、実家でも、最終的には、同居困難の故を宣告されることも少なくありません。世界的に、フィスチュラ罹患者が最も多いサハラ以南アフリカ地区などでは、生活用水もままならないままに、家族が一間の家に居住するのがならいであるところ、身を清めることが困難なこうした女性たちは、その臭気のゆえに、孤立を強いられていきます。

フィスチュラは、手術により、9割、治療可能ですが(約1割の患者が、改善せず、何らかの症状と一生向き合っていくことになります)、そのコストは、約二週間の入院期間を含めて最低でも300ドルくらいと見積もられています。これは、こうした国々の一般民衆の世帯年収よりも高額である上に、施術できる医師、病院は、現状、多くの地域で、ほとんどありません。

WHOが1989年に発表した推定では、世界には、200万人ほどのフィスチュラ罹患患者が生存しており、毎年、5万から10万人の患者が増加していると言われました。フィスチュラについての、簡単な世界年表を、こちらからご覧ください。

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当団体が支援を行うアジスアベバフィスチュラホスピタルは、院長夫婦、レジナルドとキャサリン・ハムリン夫妻がともに産婦人科医として、オーストラリアより、エチオピアに居を移してきたことにより、アジスアベバに1974年に開設されることになりました。レジナルド医師は、故人となりましたが、キャサリン医師は、現在に至るまで、50年以上の年月を、フィスチュラの無料治療に費やしてきた計算になります。








フィスチュラ撲滅に関心を持つ有志学生グループが研究発表の成果をまとめました